青春


誰かの泣き顔のような太陽を
手を振って見送った青春のおわり
死は雲のまにまにはさまっていて
あとには夜だけがものさびしげに残っていた


夜のなかで息をするには
私たちはまだ幼くて
アルコールの回らない闇が、冷たく
肺を刺した
その痛みを布団のなかでかき抱いていた
病をはらんだ指のなかに


その同じ手で、やはり橙いろの
拙い思い出を抱いているうちに
ずんずんと墓場は近づいてくる
黄色い土の上で蜥蜴の尻尾を切った、
その青いような記憶が やはくも骨壷にはみっちり収まっていて
むせび泣くことだけが許されていた


(日輪は死んでいく、いともたやすく死んでいく
私のまうえで死んでいく
私の吐瀉物にうずもれて死んでいく
引き止めようとした指は骨だった(しろく濁った哀切)
空を仰ぐ、青を飲み干そうとして手をのばす、
挫折する、


くずれおちた指は黒ずんでいる
それを食い千切る
惨めな痛みだけを考えながら
日を あるいている


               2012・11・5

   

  
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