季節


六月は 僕を垣間見る痛みの季節
多雨(ひさめ)の晴れ間には
神さまを殺しにいこう
海辺のペットボトルに、僕の心臓をつめこんで
僕は跳ねあがる! 銃弾をうちこまれたように


ふかくはためく、よるべないスカートのしろによせて
電信はどこまでもながれてゆく


貴方は列車 黒く黙示録をひびかせる列車
僕は卵を買いにいこう、今日
すべての影を僕は追いやった 吊り革から
季節には手が足りない、手が
神さまを殺すには あまりにも……


紫陽花は今や重くつみあがった酸欠
テトラポッドには
未来の死骸がうちよせる、
ちぎれちぎれの神さまの未来
赤いロリポップを齧っている僕は
ちぎれちぎれにうちよせる


光はどこへも運ばれない
僕は、歯茎から血をながしたまま
海に みつめられる


            2013年6月

   

  
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