窒息


ほんとうに美しいものは、
栄螺のような頭痛のうらがわに
隠されている
夜の薔薇のようなしずかさを
はぎとっていくとき
私の手には光輪がやどっている
夜は赤裸々な血を流す、
ゆらいでいく存在を明日に明け渡しながら
そして私は私の眩暈を噛み締める 光輪は
回転し 脈動のような回転は命を削り落とし、かみしめたものからはしろい味がする


黒い夜


その痛みに私が耐えられなくなった時、うつくしいものたちは磔刑にされていた
彼らに杭を打とうとした私の
手のひらには聖痕がある
まばゆいばかりの傷痕 私は
やはりうつくしかったのだ かつては
光輪は背骨で回っていた 終末が、回転運動のリズムを刻んでいる


太陽


息のつまるような時間
ひん曲がった両腕をひかりのほうへと差し伸べた
それが地獄だと、鮮やかでないなにかたちは知っている


呼吸音


                 2012・11・23

   

  
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